「ただいま〜♪ー!帰ったよ〜♪――って…いない…」

僕は「世界の恋人」とまで言われている、今もっとも人気の若手俳優のオーランド・ブルーム…だそうだ。

世界の恋人といわれた時には思わず「僕は『世界』じゃなくて『』の恋人だー!!」って叫びそうだったのを必死で堪えたのを覚えてる。

僕はピーター・ジャクソン監督の作った超大作「ロードオブザリング」でなんと!!エルフの王子様の役をゲットしたのが人気が出た理由。

決まった当初は回りの友達から散々馬鹿にされたものだ…。

『オーリィがエルフの王子役?!何かの間違いだろ!オーリィにはプレイボーイの役がピッタリだもんな♪』

『おい、それじゃーいつもと変わらないだろ?アハハハハ』

なーんて言ってくれたっけ…(怒)

あいつ等…今度会ったらただじゃおかな…いやいや、僕はもう大人だ。

あんな奴等放っておこう。

それよりも何よりも、その人気が出た理由の「ロード〜」の撮影で僕は運命の人に出会ったんだ。

それが今の恋人のだ。

は僕の衣装担当の日本人の女の子だった。

トレーラーの扉を開けて目に飛び込んできた彼女の姿は今でも目に焼きついて離れない。

窓からいっぱいに差し込む朝日をバックに、白っぽい服装だった彼女…。

思わず「天使だ…」と呟いてしまった。

そして僕は初めて逢った一瞬に恋に落ちてしまったのだ。



撮影が終わる頃、僕は人生の岐路にたたされていた。

「告白」

その言葉が頭から離れない僕は、遂にに想いのありったけをぶつけた。

そしてからの返事は「イエス」。

それからしばらくしてから僕たちは、ロンドンにある僕の家で一緒に暮らすことにした。

そしてここ一年、平穏無事に仲良く過ごしてきた…が、最近どうもの様子がおかしいときがあるのを、いくら鈍感な僕でも見逃さなかった。

そして遂に、今日は家に帰ってもの姿がない。

まさか…僕に愛想尽きて出て行っちゃったのか?!などと不吉な予感が頭を過ぎる。

テーブルの上を見ても置手紙らしきものはない。

寝室、お風呂場、トイレ…どこを探してもがいる気配すらなかった。

…一体どこに行っちゃったんだ?!」

今では仕事もしていない(させてない)が行く場所なんて限られてくる。

「もしかしたら買い物かも!」

そう思ってすぐさま車のキーを持ち、玄関を出ようとドアを開けた。

「キャアッ!」

「うわッ!って…!!どこに行ってたんだよ〜!!いないから必死で探しちゃったじゃないか」

突然開いたドアにビックリしたのか、が目を大きく見開いて僕を見てきた。

そしてすぐさま僕から目を逸らして気まずく、言いづらそうにしている。

「えっと…買い物…そう、買い物に行ってたのよ。ゴメンね?心配させちゃって。まさかオーリィがこんなに早く帰ってくると思わなくって…」

はいつも見せる天使の微笑ではなく、曖昧に微笑んで僕の横を通り過ぎて中に入ろうとした。

が、僕はそれをさせなかった。

「ッ…!オ、オーリィ?…どうしたの…?」

「………」

下から見上げてくるも瞳は揺れていた。

まさか…浮気…?

そう考えただけで僕の中にどす黒いものが湧き上がってくる。

誰と?

どこで?

いつから?

どうして…?

「ねぇ…?オーリィ?」

は僕のだろ?!」

「キャッ!ちょッ!!オーリィ?!」

僕はの腕を掴んでそのまま寝室へと強引に連れて来て、乱暴にベッドへと放り投げた。

の目も、の声も…今は憎くもある。

「裏切られた」

その思いが僕の心を支配していた。

の必死の抵抗も、今の僕には全く聞こえてこない。

今まで一度だってこんな事をしたことはなかったし、毎日が幸せだった。

それが嫉妬で狂ってしまう。

僕は泣きながら抵抗しているに覆いかぶさり、唇を強引に塞ぐと、無理矢理こじ開けて舌を絡ませる。

逃げるの舌を追い、そして捕らえては吸い上げた。

左手での両腕を頭の上で一つにして、右手での服を捲し上げると、見慣れている白くて綺麗な肌が露になった。

そこで僕は我に返って動きが止まった。

バチンッ

僕の腕が弱まった瞬間、部屋に響いたのはがおもいっきり僕の左頬を叩いた音だった。

「どうしてッ?!ひっく… どうしてこんなことッ!!」

涙でグチャグチャになりながら、は僕を今まで見たことない目で見てきた。

どうしてだろう…?

もう、僕には分からないよ…

「…ゴメン…が…他の男に取られたんじゃないかと思ったら…」

「え?」

「すごい怖くなっちゃって…僕はもう、を手放せないから…こんなことするつもりじゃなかったんだ…。本当にゴメン、怖い思いさせちゃって…ゴメン……」

僕は俯きながら必死で涙を堪えて正直に白状すると、はキョトンとした顔をして考えていたのか、僕の言っている事を理解してくれたようで、今度はカランが泣きはらした顔で「違うの…」と言ってきた。

「ゴメンね、オーリィ…。勘違いさせた私が悪いよね…。実は―――」


は今までの事を全て話してくれた。

だけど、その内容は僕を驚かすには充分で…

そして僕が後悔するにも充分で…

僕が落ち込むのも…充分で…

僕って…犬に嫉妬してたんだ…(涙)



が1週間前に一人で買い物に行った時、怪我をした子犬を見つけたそうな…


そして可哀想に思った心優しいはそのまま動物病院に駆け込んで、治療をしてもらったらしい。

その日は入院ということで子犬を預けたのだが、次の日も心配になりそして次の日も…。

そんなこんなで毎日子犬に会いに行っていたは、その子犬に情が湧いてきたらしく、でも僕にも相談しづらかったために今日まで隠してきたと…。

が裏切るなんて、そんなことするはずがないのが僕が一番分かっていたのに…。

そして今日も会いに行っていたら時間が遅くなってしまったので急いで帰ってきたら僕が…(涙)

…もっと僕を頼ってくれていいんだよ?僕だって頭ごなしにダメだなんて言わないんだから」

「うん…。そうだよね…ゴメンね?心配かけて」

僕がの頭を撫でながらそう言うと、はギュッと僕の服を掴んで謝ってきた。

何はともあれ、他に好きな人が出来たとかっていうんじゃなくて良かった。

のお陰で寿命が7年縮まっちゃったよ(んなバカな!)

でも…放っておけなくて病院連れて行っちゃうなんて、ってば本当に優しいなw

そんなところが大好きなんだけどね♪

「そうだ!今日はもう遅いから、明日僕もと一緒にその子犬見に行くよ!」

僕の提案には一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに困った顔になる。

アハハ♪ってば、本当に良く表情の変わる子だなw

可愛すぎて見ていて飽きないよ。

「オーリィは明日も仕事じゃないの…?」

僕はデレーっとした顔を元に戻して爽やかに微笑んだ。

「明日は夕方から1シーンのみなんだ♪だから大丈夫!」

「本当に?!」

明らかに嬉しそうに歓喜の声をあげるが可愛くて、思わずチュっとの可愛い唇にキスすると、茹蛸のように真っ赤になっていく。

あ〜あ、本当に可愛いんだから。

だから他の男かも!って思っちゃったんだよな。

これからはいつも以上に回りの男に目を光らせないと!




次の日僕たちは仲良く手を繋いで、が子犬を連れて行ったという動物病院にやってきた。

面会時間というのが決まっているらしく、午前中は11時から12時までとなっている。

はいつも11時にやってきて12時までいるらしく、看護婦さんたちとも仲良くなっていた。

「こんにちは!あの子の面会に来ました」

が受付にいた看護婦さんにそう言うと、看護婦さんは笑顔で「ちょっと待っててね」といって一旦中へ消えていった。

そして診察室のドアが開いて先程の看護婦さんが「どうぞ」と案内をしてくれる。

入院している動物たちがいる部屋へと通されると、看護婦さんはまた戻って行ってしまった。

「オーリィ!この子よ!ほら、後肢を骨折してて歩けなくなってたの。だから今はギプスをつけて固定してるところなの。このまま骨がちゃんとくっつけば他の子と変わらないように歩けるんだって」

「どれどれ」

犬舎に入っていたのはクリーム一色の子犬…って言っても小型犬より大きそうな犬だった。

「これ…ゴールデンレトリバーの子犬っぽくない?」

思わず口にすると、も「やっぱりそう見える?」と…。

でも、昨日聞いた限りでは飼い主も見つからず、捜索願も出てないらしい。

僕は嬉しそうに子犬を見つめるに、きっとが思っているであろうことを聞いてみた。

「ねぇ、。この子、飼いたい?」

「え?!」

子犬を見ていたは凄い勢いで僕の方を向いたのを見ると答えは「イエス」か。

「で、でも…今のところじゃペット禁止だから飼えないわ?」

は肩を落としてそう言うと、寂しそうな表情をした。

子犬もそれに気がついたのか、「ク〜ン」とが差し出している手を舐めている。

「じゃあ、この子の骨が治るまでに飼い主が見つからなかったら引っ越そうか!」

「本当に?!」

僕の言葉には驚きつつも嬉しそうな顔をした。

ったら、嬉しさがにじみ出てるよ。

あーもう!今ここで抱きしめたいくらい可愛いな〜。

そんな顔が見れるなら犬の1匹や2匹どうってことはない!

「うん。僕たちの新しい家族を迎える為に」

「ありがとう!!オーリィ、大好きよ!!」

は僕の首に腕を回して抱きついてきた!

毎回こんなことされるなら100匹や200匹…!!

などと馬鹿な事を考えていたボクは、次の日から新居探しをすることになった。




と二人で住んでいたマンションの近くに好物件の一戸建てがあり、僕たちはそこへ引っ越すことになった。

そして家が落ち着いたころから子犬が我が家の一員となり、今まで以上に楽しくなるかと思われた…。

しかし!!僕の考えは甘かった…。

の奴(子犬の名前はが決めた)にばっかり懐いて、僕とカランの大切な時間を毎日毎日ことごとく邪魔をしてくる。

僕だってとベッタリくっついてたいのに!!

寝るときも、ご飯食べる時も、お風呂やトイレにも着いて行こうとするにはとうとう僕も限界が来て「!!お前はオスだろ!!は僕の恋人なんだ!!は向こうへ行け!!」って怒鳴ったらは明らかにしょんぼりとして僕たちの側に来ようとしなかった。

するとは「オーリィ!!だって言葉が分かるんだからそんな意地悪言わないで!!、おいで?もう大丈夫だから。ね?」

そう言って抱っこされた瞬間のの勝ち誇った顔…。

僕だって負けないからな!!!

これからじっくりとの「1番」が誰なのか分からせてやる!!

僕が「打倒!!」という目標を新たに作ったのは言うまでもない。。。








あとがき


うわっちゃ〜;何にも妄想しないでタイトルだけで書いてしまった一本です;

犬に嫉妬するオーリィ(笑)それはそれで可愛いかもw

本当にヒロインが別の男の人と密会してたらこんなもんじゃ済まないでしょう;

でも、オーリィが恋人だったら他の一般男性なんてイモですよね、きっと。

ああ、オーリィに愛されたい!!嫉妬されたい!!

ここまで読んでくださってありがとうございましたwこれからもよろしくお願いしますw




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