「私ね、ボロミアのこと…好きなの…///」
〜恋人〜
旅の途中大好きだったに告白され、俺たちは付き合うようになった。
カラズラスの峠ではホビットよりは大きいが、小さい身体で一生懸命ついていこうと歩いていた姿が愛しくて、なるべく歩きやすいように俺の後ろを歩かせた。
ガンダルフが闇に落ちてしまった時は泣き叫ぶを胸の中で落ち着かせた。
指輪の誘惑に負けそうなときもがいてくれたから頑張れた。
あの時以外は…
ロスロリアンを船で出て、どれくらい経っただろうか。
古の王に会うこともでき、とても感動した。
やっと大河の最終地点まで行き、俺たちは船を下りた。
船を下りてすぐにが俺の元にやってきた。
「ん?どうした?」
「一緒に撒き拾いに行こう?」
は満面の笑みを俺に向け、俺の腕を引っ張っていく。
森に入って薪を拾っているとは大きな薪を抱いて立ち止まった。
「?」
不思議に思い、後ろを歩いていた俺はの斜め後ろで立ち止まる。
「ボロミアったら最近全然私といてくれないんだもん…寂しいんだからね?」
そう言って向き直り、抱いていた大きい薪を俺に渡してきた。
「はは;すまない…そんなつもりじゃなかったんだが」
は鋭かった。
ロスロリアンで光の奥方に言われた言葉…。
『お前は旅の仲間に災いをもたらす。お前が誘惑に負け、力の指輪を手にすればお前の国の民は救えるやもしれん。しかし災いが続き、その災いの代償はお前や他多くの者の命。もしお前が誘惑に勝つことが出来たならお前も、この国の全てのものも救えよう。どちらを取るかはお前次第…』
確かに俺は力の指輪があればゴンドールの民を救えることが出来る。
しかし、そうした時の代償は…俺の命…。
「あ!あっちにも良さそうな木が落ちてる♪」
は俺から少し離れた場所で薪を拾っていた。
「!あまり遠くへ行くなよ!―――ん?フロド…?おい、一人で歩き回るな」
への意識がどこへ行ってしまったのか、俺はフロドを見た瞬間に胸がドックンッと高鳴った。
もう、俺の意識はに無く、フロドだけに集中してしまっていた。
「とりわけ君は気をつけろ。―――フロド…」
俺には気をつけろ…そう心が叫んでる。
しかし、フロドへの優しい言葉が次々と出てくる。
「一人になりたいのか?日夜心をさいなまれて?…あまり考えすぎるな。他にも道はある。…心配するな」
フロドは俺の言葉をずっと下から睨みつけるように聞いていた。
フロドなりの警戒だったんだろう。
フロド、お前が俺を警戒したことは正解だったんだ。
「親切な言葉に聞こえるけど僕には警告に思える」
胸がまたドックンッと高鳴る。
「警告?何を警戒している。皆不安は同じさ…。恐怖に負けたら全て終わりだ。それを忘れるな…」
本当は俺が負けそうなんだ…。
…俺の心は闇に染まっていきそうだ…。
「道はただ一つだ」
そう、ただ一つなんだ…。フロド、お前の言うとおり。
でも、俺の心の奥底の声は一欠けらも口をついて出てこない。
闇の中の俺が喋っている。
「俺は我が民を守りたい!!…指輪を貸してくれ。借りるだけだ…!」
…!!助けてくれ!!
「正気に戻って!」
何故俺は正気に戻ることが出来ない?!
こんなこと俺は望んでない!!
「お前が任務を果たす?奴らに見つかり指輪は奪われる!死ぬ方がマシな苦しみを味わう…!」
フロド、ゴメンな…。
みんな、ゴメンな…。
……俺は指輪の誘惑に勝てなかった…。
お前を幸せにするって言ったのに…。
奥方の言ったことが正しければ俺は…、ゴメンな…。
「愚か者!!お前よりも俺が手にすべき指輪だ!よこせ!俺に指輪を!!よこせ!!」
俺は傍観者だった。
俺の姿をした俺じゃない奴がフロドを襲っているように見え、それを止めることが出来なかった。
フロド!頼むから俺から逃げてくれ!
そう思った瞬間、フロドは力の指輪を使って俺の目の前から姿を消した。
「ボ…ア!」
何だ?光が見える…。
「ボロ…ア!!」
俺の名前?俺の名前を呼んでるのは誰だ?光が眩しすぎる…
「ボロミア!ボロミア!!」
「……?」
が闇を取り除いてくれたのか?
「…俺は…とんでもない事を…」
は走りより、その勢いでギュッと俺を抱きしめてくれた。
「うん…。いいの。大丈夫よ!私が…私がついてるわッ!!」
今までの闇が嘘のように俺は光に包まれた。
「ッ?!」
「!!オークだ!」
俺の言葉には頷き、剣を抜いた。
俺も剣を抜き、一目散に仲間の援護に向かった。
「ボロミア!あそこ!!メリーとピピンが!!」
が指差す方を見ると、メリーとピピンはオークの大群に追われていた。
「!行くぞ!!」
俺は必死になって走った。
そしてメリーとピピンに今まさに振り下ろされようとしている剣を掴み、オークを蹴り上げ剣で刺す。
メリーとピピンも剣を抜き、必死に戦っていた。
敵の数はどれくらいなのか?少しでも多く俺が片付けてやる…。
たった少しでも償わせてくれ。
この大地にゴンドールの角笛を響かせるから…。
少し遠くにがいる。
はいつも剣舞を舞っているように剣を振るう。
「これが最後になるなら…見納めか」
おれはそんな事を思いながらも必死で戦った。
俺の後ろにはメリーとピピンがいる。
もう、フロドから何も奪わないようにメリーとピピンを守る。
「フンッ!ハァハァ、逃げろ!」
敵の攻撃は休まることなく、次から次へと湧いて出てくるようだった。
剣がぶつかり、金属音の嫌な音がする。
剣を振り上げ、その隙に心臓を貫く。
またもや剣が振り下ろされ、それを間一髪で避け腕を切る。
「ボロミア!!危ないッ!!」
の声が聞こえてきたと思ったその時…矢が俺の胸に突き刺さる。
「ボロミアァァァァアア!!」
この時が訪れた…。
俺は地に膝を付き、出来得る限りの抵抗をしようと心を落ち着かせた。
そして尚も俺に降りかかろうとする剣を薙ぎ払ってオークを倒していく。
俺にはまだやれる…いや、やらなければいけない!!
剣の柄でオークを殴り、剣で刺す。
2本目の矢が俺の腹に刺さった…。
「ッ!!クッ…」
矢を放っていたウルク・ハイを見つけた。
何と言う光景なんだろうか…。
がそのウルク・ハイに腰につけていた小さな短剣を命中させる。
腕に当たったのか、そのウルク・ハイの注意がに逸れ、は尚も切りつけていった。
そしては近くに落ちていた敵の武器を拾うと剣でそいつの腹を刺し、もう一方で首を落とした。
俺が正面のオークを倒していると、オークどもは後ろから現れメリーとピピンを連れ去って行ってしまった。
ホビットが狙いだったのか、二人を連れ去ると矢を刺されて動けなくなった俺を無視して通り過ぎていく。
「ま…て…!!俺は…ま…だ、やれ…るぞ!!」
「ボロミア!!」
足の力が抜け、倒れそうになった俺をが抱きとめ横になる。
「…ゴメンな…?俺…約束守れそうに…ない…」
は瞳にいっぱい涙を溜めながら大きく首を横に振る。
「ボロミア…ひっく…そんなの…許さないんだから!!」
遂に大粒の涙がの頬を伝い、俺の上へと零れた。
「…、泣かないでくれ…。俺には…いつでも笑顔を…見せて…ほしい」
「ボロミアが元気でいてくれれば…うっく…いつだって笑顔でいるわ…だからお願い!死なないで!」
俺はどうしての泣き顔を見上げているのだろう…
泣かないでくれ…お前は一番笑顔が似合うんだから…
泣き顔なんて見たくないんだ…
「ボロミア!!」
突然アラゴルンがやってきて俺の顔を覗き込み、手当てをしようと服に手をかけた。
アラゴルン…あんたまでそんな顔をするな…
「ホビットたちが…フロドはどこに?」
そうだ、俺はフロドを襲った…謝らなければ…あれは俺の本心じゃなかったと…。
「彼は発った…」
…フロドにもう、謝れないのか?
「恥ずかしい…指輪を…取ろうとした…」
「指輪は遠くへ行った」
「…も…許してくれ…俺は誘惑に負けた…。愚かだったよ…」
は俺の手を強く握った。
「そんなことない!!ボロミアは…ボロミアは勇敢に戦ったじゃない!!私に気づいてくれたじゃない!!ボロミア…貴方は勇敢に戦ってたじゃない…そうでしょ?」
は俺の手にキスをし、俺の手に涙を落とす。
「ボロミア、君は名誉を汚さなかった」
「…おしまいだ…人間の世界も…悪がこの世を支配し、我々の都は滅びる…」
「私の血にどれほどの力があるのか…だが、我らの都と民を…必ず滅亡から救う!」
我らの都と民…
俺には救えなかったものを、アラゴルン…お前なら救うことが出来るだろう…
「我らの民…我らの…民…」
初めてアラゴルンがそう言ってくれて嬉しい。心からそう思っている。
「心残りだ…兄弟よ。…我が将…。我が王…。を…をよろしく頼みます…」
「イヤッ!!ボロミア!!」
「…頼む…最後に…笑ってくれ…俺の大好きだった…笑顔を見せてほしい…」
、俺がお前を幸せにしてやれないことがどんなに心残りか…最後にお前の笑顔だけでも…
「…ボロミア…ボロ…ミア…私、ずっとずっと…愛してるわ…」
は瞳いっぱいに涙を溜めながらも、俺の為に最高の笑顔を見せてくれた。
「あぁ…やっぱりお前の笑顔は最高だ…。俺は今…世界一幸せものだ……幸せになれ…よ…」
「ボロ…ミア…?ボロミア…!ボロミアッ!!イヤァァァァァアア!!」
俺はいつまでもお前の幸せを願っているよ?
俺が最初で最後、人生で一番に愛した恋人…。
君に幸あれ…
あとがき
えー…何だかわけの分からない悲恋になってしまいました(滝汗)そしてこれはお題に当てはまるのか?ちょっと…いや、かなり悩みどころです;
ボロミー大好きなんですが…ここだけの話、長編ではボロミア死なない設定にしようかと思ってるんで、今回番外ということで泣く泣くボロミーには亡くなっていただきました(泣)
一応寝る間も削って書いたものなので皆さんに評価していただけたら光栄ですw
さて、ここまで読んでくださった様!!大変お疲れ様です。そしてありがとうございます!!
これからも日々精進していくので、なにとぞ今後も見捨てないでやってください!!
では!今回はここら辺で☆
管理人・日浦華蘭でした♪
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