〜Only you…It loves…〜


私は19歳の時に親の反対を押し切ってアメリカへ留学した。

もちろん当時は言葉もろくに通じなく、バイトで雇ってくれるところもなかった。

しかし、がむしゃらに突っ走って頑張っていた私を見て、徐々に友達ができて行き、今となっては結構好かれている方だと思う。

そして友達が出来ればもちろん言葉も覚えていき、20歳になった今では日常会話は難なく喋れるまでに上達が出来るようになり、バイトだってレストランで働けるまでになった。

それが私の幸せだと思っていたのだ。

そう、「彼」と出会うまでは…。

彼と出逢ったのは偶然でもあり、必然でもあったのかもしれない。

私はその日、友人のジェーンに連れられてジェーンの友達の家で開かれるというホームパーティーに出席することになった。

「何故私までパーティーに行かなくちゃいけないの?」

ジェーンには無理矢理薄いピンクのドレスを着させられ、髪型もメイクもされ、普段なら絶対にしないだろう格好で通りを歩いていた。

そしてジェーンには何度この質問を投げかけただろうか;

しかし返ってくる返事は決まって「内緒w」と可愛くウィンクされるだけ。

意味あり気なジェーンに何も言えず、私はズルズルと引きずられてジェーンの友達の家に着いた。

「いいこと?。私は今日、このパーティに全てをかけるわ!だからも頑張るのよ!」

「へ?頑張るって…何に頑張るのよ?」

うん、確かにジェーンは気合がかなり入っているのか、普段はピッタリしたジーンズがとっても似合い、綺麗なブロンドをなびかせているのだが、今日は真っ赤なドレスをモデル並に着こなし、ブロンドの髪をアップにして、もう、本当に女の私が惚れてしまいそうなほど綺麗だ。

そこまで綺麗なジェーンがこんなに気合が入っているというのは珍しく…と言うか、今まで見たことがなかった。

…、本気で言ってるの?!パーティーで頑張るって言ったら1つしかないじゃない!しかも今日は……ううん、行ってからのお楽しみねw私は今日、良い出会いをゲットするわ!」

ジェーンはかなり熱を込めて張り切っていたが、私には全くその気がなかった。

恋愛に興味がないって言ったら嘘になる。

もちろん恋人ができればデートもしたいし、大事にされたいと願うのは女の子であれば当然のこと。

でも、実際の私は正直そんな暇はない。

バイトもしなきゃいけないし、勉強もしなきゃいけない。

やりたいことはたくさんある中で、好きな人を見つける余裕なんて私にはないと思っている。

それなのに何故私までこんなパーティーに?

「…ジェーン、何度も言うけど、私は―――」

「やあ!ジェーンじゃないか!いらっしゃい!」

私の声を遮って家のドアが開き、中から一人の男性が出てきた。

しかし外はもう、真っ暗で顔がよく見えない。

「リジィ!久しぶり!!今日はお招き有難う♪」

「リジィ」と呼ばれた男性はジェーンに近づくなり、ハグをし、頬にキスをした。

もちろんジェーンも同じように…。

ポツンと置いていかれた感じになりポーッとしていると、男性は私を見つけた途端にパァっと明るい表情になり近寄ってきた。

「もしかして君が―――」

「そう!私の友達のよwリジィがずっと会いたいって言ってた子♪」

ジェーンは彼の言葉を遮って何やら聞き捨てならない言葉を発した。

「…え、ちょっと待ってジェーン…。どういうこと?」

上手く笑顔が作れず、引き攣った顔になりながらジェーンに聞くと、何でも以前彼とジェーンが会った時に何故か私の話しになり、彼が私に会いたいと言ったそうだ。

そして今日は、彼にしてみれば私に会う為のパーティーだそうで…;

はっきり言って勝手に話が進んで行き、こんなことになるなんて馬鹿にするんじゃない!と思った。

しかし、彼…リジィはずっと満面の微笑みで私を見つめている;

、初めまして!僕はイライジャ・ウッド。皆からは『リジィ』って呼ばれてるからもそう呼んで♪いやー、本当に今日は来てくれて嬉しいよ!!」

リジィは私の右手を両手で握り、ブンブンと上下に振った。

(そんな綺麗なブルーアイで、しかも可愛い顔して見つめられたら帰れないじゃない><!!)

ここで帰れるほど私の心は冷血ではなかったので、仕方なくそのまま出席することにした。

「あ、。今日来てくれてる人たちは年齢層が広いけど気にしないでね♪みんな僕の友達なんだけど、絡まれたらすぐに僕かジェーンに助けを呼ぶんだよ?!」

そう言ってリジィは真剣な眼差しで私に忠告してきた。

「か、絡み?!う、うん。だったら私はずっとジェーンと一緒にいる―――」

「私はあてにしないでね☆さっき言ったでしょ?」

素早くジェーンに言われ、またしても私は笑顔を失った;

「酷いよー><!!」

そんな私の叫びは夜の街に消え、リジィの家に引っ張られて行った。




リビングに通されるとそこには10人くらいの本当に年齢が様々な人たちが集まっていた。

「皆!最後の2人が到着したよ〜!えぇっと、こっちのブロンド美人な女の子が僕の友達のジェーン。そしてこっちの可愛い彼女がジェーンの友達で日本人の。僕が日本人の友達が欲しくてジェーンにお願いしたんだ♪だから僕とも初対面なわけだから、みんなあんまりに絡まないように!」

リジィはそう言った忠告を含め、私たちを紹介してくれた。

そして私たちにも一人一人端っこから紹介してくれて、何とか皆との挨拶を終え、シャンパンが入ったグラスを手渡された。

リジィが乾杯の音頭を取り、それぞれがグラスを合わせ、綺麗な音を奏でている。

私も最初よりは回りが見えるようになり辺りを見回すと、何だか皆「美男美女」と言う言葉がピッタリと当てはまる人ばかりだった。

「あの人…リヴさんって言ったっけ?すっごい綺麗だなぁ…。あ、あの人はミランダさんだっけ?あの人も綺麗…」

一人でブツブツ言ってると、後ろから声をかけられた。

!僕さ、日本って数えるほどしか行った事ないんだけど、どれも仕事で行っただけで観光って出来なかったんだよね;だからさ、日本についていろいろ教えて欲しいんだけど♪」

リジィは瞳をキラキラさせて「お願い!」と顔の前で手を合わせ、最後にウィンクしてきた。

(ヤ、ヤバイ…可愛いわ…しかも本当に綺麗なブルーアイ…)

私はリジィを見てポカンとしていると一人の男性が私たちに近づいてきた。

その人と目が合うと、彼はニコッと微笑んだ。

(うわぁ!何?!この素敵な微笑みは!!確か…ヴィゴさんって言ったっけ?こんなカッコいい人が私に微笑んでるぅ!どどど、どうしよう!!)

私は一人ドギマギしていると、ヴィゴさんは思いもよらないことを口にした。

「私も日本の事、教えて欲しいな…。日本にはお忍びでも何度か訪れているんだが、いつ行ってもいい所だと思うよ」

とても耳に心地いい声で話しかけられ聞き逃すところだったが、私はどうしてお忍びなのか分からなかった。

「え…?お忍びって…どういうことですか??あれ?さっきリジィも仕事って言ってたけど…リジィって一体いくつ?」

日本に数回来たって言ってた割にはリジィは若すぎる気がする。

どう考えても私より2個上くらいだろうと思うけど…そうなると仕事って何歳からやってんのよ;

そんなことを思いながら、二人のカッコいい顔を交互に見やりながら質問を投げかけると、二人は驚いた顔をした。

「…え?、もしかしてジェーンから何も聞かされてないの??」

目を丸くして聞いてくるリジィに私は首を縦に振った。

「何のこと??」

何となくリジィに目を合わせて聞くと、今度は困った顔をして頭を掻いていた。

「…リジィ…には私から話すよ」
「あ、ホント?じゃー、ヴィゴに頼むかな♪ヨロシクー」

そうしてリジィがいなくなったと思った瞬間に突然ヴィゴさんが私の手を取り、部屋の端っこ…部屋の入り口に連れてこられた。

「ヴィ、ヴィゴさん?!」

自分たちが何者であるのかを話すのにこんな離れたところに?!と思いつつもドギマギしながらついてきた。

一体何が明らかにされるの?

「…さて、何にも知らないには重大なお知らせがある。それは…ここにいるジェーンと以外の者の職業について。には想像つくかい?」

ヴィゴさんは右手で前髪を掻き揚げ、一息ついてから私に質問してきた。

そんなこと言われても…;年齢が様々で一体何の仕事かなんて;

「…えぇっと…;う〜ん;皆さん素敵な方ばっかりだから…俳優さんとか!な〜んて☆;」

私は笑顔を引き攣らせながら、冗談っぽくヴィゴさんの質問に答えた。

予想では当然否定の言葉が返ってくるだろうなどと勝手に思っていたため、ヴィゴさんの驚いた顔にまた驚いた。

ヴィゴさんは額に手を当て、溜息をつき小さく首を横に振る。

「何だ、知っていたなら言ってくれれば良かったのに…」

そう呟いたヴィゴさん。

……え?今何て言いました?知っていたなら?言ってくれれば??待って待って、どういうこと?

完璧に私の頭の中は混乱し、目を白黒させる。

「…えぇっと…は、俳優さん…なんですか??」

私がパニくって逆に質問すると、ヴィゴさんはまたもや驚いた顔をした。

「えぇっと…は知っていたんじゃないのか??」

「…いえ;ただ、適当に言っただけで…;わ、私…帰ります!!!」

こんなすっごい人たちの中にはいられないわ!!と思い、すぐさまその場を後にしようと踵を返すと、後ろから肩をつかまれた。

私はヴィゴさんの方を振り返ると、ブルーグレイの瞳が悲しそうな色をした。

「ちょ、ちょっと待って!何故が帰ってしまうんだ?私たちが俳優だからと言って敬遠しないで欲しい。私たちだっていろんな人と仲良くなりたいんだからね。私はと出会えて凄く嬉しいよ?それに…実は結構前からリジィから君の話を聞いてたんだ。もちろんジェーンからの情報でね!それでに会ってみたいってずっと思ってた。」

私は顔が茹蛸のように真っ赤になっていくのが分かった。

彼は俳優よ?!これくらいの演技くらいできるはず…私はマジになったらいけない…。

この瞳に騙されちゃいけない…

この声に騙されちゃいけない……

この言葉に騙されちゃいけない………

「い…いや〜;でも、私はそんな凄い人達と仲良くなんて…出来そうにないですよ;;うん、そう、私には―――」

…君がそんなに私たちと仲良くするのが嫌ならば無理にとは言わないが…それでも私は君の事を知りたいと思い始めてるんだ」

「…へ?」

私は何とも気の抜けた変な声を出してしまい、それを聞いたヴィゴさんは苦笑しながら私の頭に手を置いてきた。

今更ながら白状してしまうと、私はヴィゴさんみたいな大人で紳士的な感じの人が…と言うかヴィゴさんが「理想の人」そのものだった。

そんな理想の人に「君に会いたかった」とか「君の事を知りたい」とか言われたら心臓バックンバックンですよ?!

どういった意味でそんな事を言ったのか分からないけど、今の私の頭の中にはジェーンの言葉がまざまざと思い浮かんでくる。

『いいこと?。私は今日、このパーティに全てをかけるわ!だからも頑張るのよ!』 

頑張るって…やっぱりこういう時に頑張るってことよね…

「あ…あの…ヴィゴさん!わわ、私もヴィゴさんのこと知りたいです><!!(言ったぞ!)」

このまま私の心臓が止まってしまうんじゃないかと思った。

別に告白したわけでもないのに何でこんなに苦しいのか、自分でも分からない。

それでも俯いてる私は、ヴィゴさんが何かを言おうとしているのが分かって、少し顔を上げた。

すると、ヴィゴさんは口に手を当てながら顔を赤くして目を泳がせている。

「え〜っと…あ、ありがとう///みたいに若くて可愛い女の子に顔を真っ赤にされてそんなこと言われたことなかったからちょっと…面食らってしまったよ」

「え?!わ、私なんて全然可愛くないですよ///そ、それに最初に言ったのはヴィゴさんじゃないですか!」

「え?あ…そ、そうか///」

私たちは二人して顔を真っ赤にしながらそんな事を言い合っているうちに可笑しくなり、最後は二人で大笑いをしてしまった。

「アハハハハ!!」
「アッハッハ!」

「ヴィゴさんって、可愛いところや少年のようなところもあるんですね♪」

「お!言ってくれるじゃないか。どうせ私はリジィたちと違ってオジサンですからね」

私の言葉にヴィゴさんはまた私の頭の上に手を置いて、髪をクシャっとしてきた。

「別にそんな意味で言ったんじゃ!それに私はそういうヴィゴさんの方が…素敵だと思います!」

私が慌ててそう言うと、今度は慌てる様子もなく「ありがとう」とニッコリ微笑んだ。

その微笑にまたしてもドキッとしたが、私もまた慌てることなく微笑み返す。


、君みたいな子と仲良くなれるなんて嬉しいよ。これからもヨロシク」

そう言ってヴィゴさんは手を差し出してきたので、私も「こちらこそよろしくお願いします♪」と、ヴィゴさんの大きな手に自分の手を重ねた。

「あー!!ヴィゴ!!何そんな端っこに女の子連れ出してんの?!しかも握手してるし!!イヤらしい!」

「うっさい!」

「――グアッ!!」

静寂を切り裂くような感じで私たちの間に入ってきたのは、え〜っと…確かドム…って言ったかな?

そう、そのドムはそんな事を大きな声で言うもんだから、ヴィゴさんから頭突きを食らって悶絶していた。

「――ッ!…プッ…プハハハハ!!」

私は笑いを堪えられなくなり、思わずお腹を抱えて笑ってしまった。

するとドムは「二人して…酷いじゃないか!!」と、目に涙を浮かべながらリジィの胸に飛び込んでいった。

私はそっとヴィゴさんを見ると、まだ彼は笑っていた。

その顔をみると、何だか心が優しくなった気がした。

きっと私の恋は始まったばかり…

私の心は軽やかで、清々しい気持ちになった。

そしてきっともう、私には貴方だけ…





                                    END


あとがき

何だか意味が分からない小説になってしまいました;

と言いますのはこれを書き始めたのはかなり前でして、最近妄想癖がまた酷くなり、新しいのを書きたいと思ったが書き途中のがある…と思って「えぇい!最後まで書いてしまえ!」と思って書いたのです…が、しかし!状況を把握できていない為か、きっとすっごく微妙だと思うんですね;

まあ、それでも一生懸命書いたので見てくれたら嬉しいです☆
それでは、次回お会いいたしましょう♪



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