「ガンダルフ〜、疲れたよ〜><!!」

今日はお昼の休憩もままならず1日歩きっぱなしだった為、ピピンがもう限界だと言わんばかりにガンダルフに訴えた。


「あぁ、分かっておる。もうそろそろ食料を調達しないといけなくてな。もう少し行った所に小さな町があるんじゃ。なに、そこで久しぶりにベッドで休むとしようじゃないか」

その言葉を聞き、ホビッツはかなり嬉しかったのか歌を歌いだし、他の仲間も安堵の息をつく。


「さ、おぬしらもホビットたちに負けんように頑張って歩くのじゃぞ?」

ガンダルフは後ろを歩いていたアラゴルンとボロミアに向かって言った。


「アラゴルン、俺はあんたには負けない」

「フッ、ボロミア、私が君に負けるとでも?」


最近の二人は「勝ち」「負け」の言葉にやけに敏感になっていた。そして、そのことで言い合うのはもっぱら争奪についてだった。

「最終的にが選ぶのは絶対に私だ」

「ハンッ、何を言っている。どこにそんな根拠があるって言うんだ。を幸せに出来るのは俺しかいない。レンジャーごときには幸せには出来ん」

人間の男二人の間には常に火花が散っていた。


「…ねぇ、

「ん?。何?フロド」

フロドはとても綺麗なブルーの瞳でじっとを見つめる。

しかしその顔はとても呆れていて、何やら怒りまでもが込められている。

「え…?フ、フロド??私…何かした??」 

フロドとは対照的では焦った顔をする。

「あ、ううん。違うんだ、は何もしてないよ。ただ、にはあの二人をどうにかして欲しくて…;もう、あの二人ずっとああだからさ;」


フロドが言う先にはもちろんアラゴルンとボロミアがいる。

「…え?何で私なの?いや、何かオーラが怖いから近づきたくないかも;;」

フロドは苦笑しながら「確かにね」と言ってチラッとを見た。

(原因は、君なんだけどね…)

心の中でフロドは呟き、今度は後ろを気にせずに前を向いて歩き出した。







「あ!町だ!!」

もうすっかり陽が傾いているため、メリーの指している先には家の明かりが輝いている町があった。

やっと着いたと、仲間たちの顔には安堵の色が見える。

アラゴルンやボロミアでさえ、かなり疲れた様子であり、その原因ともなっているが心配して二人の元へやってきた。


「アラゴルン、ボロミア…かなり疲れてるみたいだけど大丈夫??」


が二人の顔を交互に見つめる。


「「ッ!!」」


アラゴルンとボロミアはに見つめられ、大きくのけぞった。


ッ」


「キャアッ」


突然目の前のボロミアに抱きつかれそうになったところを、急にグイッと体が後ろに引っ張られた。


「ボロミア、何をやろうとした?」


を引っ張った張本人であるアラゴルンが、を後ろに隠すようにしてボロミアの前に立ちはだかった。


ボロミアはチッ悪態をつきアラゴルンを睨む。


もちろんアラゴルンも負けてはいなく、またまたは本日何度目かの溜息をついた。


「もう、勝手にやってて;」


そうして戦利品とも言えるはホビッツの中に混ざって行った。







「さぁ、宿が取れたはいいが、部屋が3つ。3人3人4人で分かれなきゃならんのう。さて、どうするか…」


そうしてやっぱりと言うか、当然と言うか、仲間たちの視線はに注がれる。



「ん?私はどこでもいいよ。別に気にしないから」


本人の了承を得て、男たちは「我こそ」と名乗りを上げる。




結局部屋割りはガンダルフが決め、ボロミア・レゴラス・メリー・ピピン、アラゴルン・フロド・サム・、ガンダルフ・ギムリ・となった。


「(やっと)決まった?」

は疲れたと言って少し離れた椅子に座っていた。

そしてガンダルフに手招きをされ輪に入ると、何故かほとんどが不服そうな顔をしていたが、はあえて口にせず、早く休もうと促した。








「あ〜、いいお湯だった♪久しぶりのお風呂は最高だわw」


は久しぶりのお風呂から上がり、部屋へ戻ると誰もいなかった。


「…もしかして酒場??」


まだ髪の毛も乾ききっていないままは1階にある酒場を訪れた。

すると少し奥に皆がいるのが確認できた。


「「ー!ここだよ!!」」


メリーとピピンがに気がつき大きく手を振っている。


は人を掻き分けて仲間の元へたどり着くと、みんなの目が点になっていた。


「ん?…ど、どうかしたの?」


…とっても綺麗だね!」


フロドが目をキラキラさせて言う。


「え?そうかな?これね、アルウェンが旅に出る前に寝巻きとしてくれたものなの♪」


の言う寝巻きは無地のとっても薄いピンクでロングドレスのようなものだった。そしてそれはとてもくっきりと体のラインが出るため、周囲の男たちですら理性を制御するのにいっぱいいっぱいだった。


レゴラスの隣の席が空いていたため、がそこに座ると、そこには何とも素晴らしい絵が描けそうな雰囲気をかもし出している。


だが、しばらくするとレゴラスは席を立ち「念のため町の見回りに行ってくる」と出て行ってしまった。



レゴラスがいなくなると、は何とも言えないような孤独感に襲われ、心臓がズキンッと痛んだ。


(何?この悲しみは。何だか心にぽっかり穴が開いたようだわ…)



しかし、にはそれが何なのか分からずにいた。









時間が経つと、それぞれ部屋に帰ったり、カウンターで語っていたりと、様々に仲間は散らばった。


そしては何となくレゴラスが気になり、探しに行こうと宿の扉を開けようとした途端に一足早く扉が開き、レゴラスが立っていた。


?どこに行くの?!こんな遅くに外は危険だよ?」

レゴラスは目を丸くしてに聞く。

「レゴラスがなかなか帰ってこないから心配で…探しに行こうかと思ったのよ」

は苦笑しながらレゴラスに微笑みかける。

「そうだったんだ。ゴメンね;そうだ!に連れて行きたい場所があるんだ」

そう言ってレゴラスはの手を握り、歩き出した。

「レゴラス?!ど、どこに行くの??」

「ついて来れば分かるよ♪」

そしてどんどん町外れの暗闇の中に足を進める。

、もうそろそろ目を瞑ってて。僕が手を引いてあげるから」

レゴラスは有無を言わさず私の両手を正面から取り、微笑みかける。

そしてはレゴラスの微笑みに勝つことが出来るはずもなく、おとなしく言う事を聞いた。





「さ、。目を開けて」

恐る恐る目を開けると、目の前には一面月の光を浴び、夜にだけ咲き誇ると言われる真っ白な花が咲いていた。


「ッ!!―――なんて…綺麗…」

「さっき見回りをしてて見つけたんだ。に見せたいと思って…良かった。連れてくることが出来て…」


「レゴラス…ありがとう!すごい素敵…。月夜に幻想的に浮かび上がる幻の花がこんなにいっぱい…」


はその場で座り込み、花の香りを胸いっぱい吸い込む。


「いい香り…」

「気に入った?」

「えぇ!とっても!」

するとレゴラスが私の横に座り込んだ。

。もう一度目を瞑って…。何があっても目を開けちゃダメだよ?」

はその言葉に従い、両手で目を覆った。

すると、レゴラスに肩を掴まれ押し倒される形になった。

「キャッ!え?何?!」

「まだ!目を開けないで!」


レゴラスの言葉に、離しそうになった手を必死で押さえた。

「ビックリさせてごめんね。今度は僕の合図で目を開けてね」

は言われたとおりレゴラスの合図を寝そべりながら待っていた。

すると、一瞬唇に柔らかいものが触れた。

「え?!」

思わずが目から手を外し、瞳を開けると…目の前には幾千もの星が夜空で瞬いていた。

またしても言葉がなくなったに、レゴラスは言う。


「綺麗でしょ?僕たちはこの大地、この空、この空気。全てのものを守るために指輪を葬るんだ。これを見ると、やってやる!って気にならない?」

「…うん…本当に…星空がこんなにも綺麗だなんて…。きっと私たちが守ってみせるわ!」

は起き上がり、レゴラスに向かって堅く誓った。

「僕の目に狂いはなかった…。この星空の下、この花々に囲まれたはとても美しい」

レゴラスはを優しく抱きしめる。

「(やっと気がついた…)レゴラス…。レゴラス、あのね…私…レゴラスのこと好きよ?とっても大好き///」

自分の腕の中にいるから思わぬ告白をされ、レゴラスは抱きしめる力を強くする。

「僕ものことはずっと好きだった。裂け谷で出会った頃から…」

レゴラスは力を緩め、を少し離して二人で見つめ合う。

…」

「レゴラス…」

どちらからともなく、二人の唇が重なった。

永遠のように永く、一瞬のような時間だった。

「ふふ。レゴラス!」

は嬉しさのあまりレゴラスに飛びついた。

もちろんレゴラスはそれを受け止め、お互い強く抱き合う。




とても甘い時間が流れ、二人が宿に戻ると仲間たちはそれぞれの部屋に戻り、眠っていた。

「オヤスミ、

「うん。オヤスミ、レゴラス」

そう言ってもう一度唇を合わせ、それぞれの部屋に入った。





「おっはよー!」

が毎朝恒例でみんなを起こしに回ると、ガンダルフとギムリ、レゴラスと以外は二日酔いで具合が悪そうだった。

「ほら、アラゴルン!起きて!」

ゆさゆさとアラゴルンを揺さぶると、腕を引っ張られ、前につんのめってアラゴルンの上に倒れた。

「キャア!」

がキスしてくれたら起きてやる」

そう言ってアラゴルンの顔が近づいてくる。

がもう駄目だ!と目を瞑った瞬間、バチンッと音がして目を開けると、レゴラスがアラゴルンの顔を叩き、その衝撃でアラゴルンはの腕を放した。

「エステル、言っておくがは僕の恋人だ。今後一切手を出すな」

アラゴルンを睨みつけたレゴラスはを抱き上げ、口付けた。

「なッ!!」

「んん!!ふ…」

衝撃的な光景を目の前で見せられ、アラゴルンは固まった。

「もう!レゴラスってば///」

嬉しそうな、恥ずかしそうな、顔を赤らめてレゴラスに抗議しているを見て、認めざるを得なくなった。



そしてその後のアラゴルンは事実をボロミアに告げ、二人の心は灰になった…。

レゴラスの本当の怖さを知っているアラゴルンとボロミアは、レゴラスに対抗する術を知らない…。







あとがき

あわわわわ;;;何だかリクどおりにはなっていない気が…;リクを下さった花梨さん、本当にスイマセン!!しかも前半はレゴラス出てきてないし;逆ハーと言ってもアラゴルンとボロミアだけの争いで、他出てこないし…。
文才ないのが丸分かりですね;でも、頑張ったので貰ってやってくださいw
他の方もリクや感想などございましたらBBSにお願いします♪
では!日浦華蘭でしたー!




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