「ッ!ごめんなさい!」
同時に同じ本に手を出してしまい触れてしまったため、私はすぐさま謝った。
「いや、すまない!…あれ?じゃないか?」
「え?」
急に名前を呼ばれ、相手の顔を見るとそこには今までずっと想いを寄せていた相手…ヴィゴ・モーテンセンが立っていた。
「ヴ…ヴィゴ?!どうしてここに?!」
「いや、ここは私の家から近いからよく買い物にくるんだ。君こそどうしてここに?」
彼は本当に驚いていたんだろう、目を丸くして聞いてきた。
「私はここらへんに引っ越して来ようかと思って物件探しの途中だったの。まさかあなたがここの近所だったとは…ビックリしたわ」
私たちの出会いはLOTRの撮影が始まってすぐ。
私はオーランド・ブルームのメイク担当になり、彼とはすぐに打ち解けられ、仲良くなれた。
そしてその他のメンバーとも言葉を交わす程度に仲良くなることも出来たのだが…
そんな中、いつからだったか私はヴィゴに想いを寄せるようになった。
オーランドに比べたら話をする機会は少なかったが、彼の優しさ、強さに私はすぐに惹かれていった。
私は撮影が終わりに近づくのがとても憂鬱で仕方がなく、涙を流す日もある程。
そんな時、メイクをする為に前に座っていたオーランドから鋭い指摘をされた。
「、元気ないね…。やっぱりもうすぐ終わっちゃうから?」
ずっと顔に出さないように頑張っていたが、さすがに4年以上彼のメイクをやっていると少しの違いが理解ってしまうらしい。
「…アハハ;解っちゃった?ダメだなぁ、私」
ぺロッと舌を出して苦笑する。
「…ヴィゴのことはいいの?は隠してるつもりかもしれないけど、僕には分かるんだから」
好きなんだろ?と言いながら鏡越しに真剣な顔をして私を見てくるオーランド。
「///何で?!…やっぱりあなたには隠し事できないわね;」
私は顔に真っ赤になっていくのが分かった。
「確かに私は彼のことが好き。大好きよ。でも…告白は出来ないわ。彼に迷惑がかかるもの」
「そんなことないよ!!きっとヴィゴだって!」
「いいの。もういいのよ。私はこのままで…」
彼の言葉を遮って私はこの話を終了した。
そしてそれからのオーランドはそのことについては何も言わず、私は撮影が終わってすぐにこの仕事を辞めた。
もちろんヴィゴとは連絡も取れずにいたのだった。
「…久しぶりだな」
「…えぇ、久しぶりね。撮影が終わって2ヶ月だもんね」
「そうだな…」
と、お互い撮影期間中の事を思い返していた。
「そうだ、もし時間があるなら家でお茶でもしていかないか?その…さえ良ければ」
ヴィゴからの誘いが嬉しくて、私は二つ返事でOKした。
ヴィゴの家はとても大きく白を基調とした少し昔を思い出させるような建物だった。
(うわー…広くて綺麗な家…男所帯なのにキッチリ片付いてるあたりヴィゴらしいわ)
などと思いながらキョロキョロしてヴィゴの後をついていく。
「クスッ。そんなに珍しくはないだろ?さ、はソファにでも座ってて。今アイスコーヒー入れてくるから」
私はヴィゴに言われたとおりリビングにある、これもまた大きい黒いソファに腰を下ろした。
そしてすぐにヴィゴが二人分のコーヒーを持って現れた。
「ありがとう」
と受け取ると彼は私の向かいに座った。
そして当然の如く撮影中の思い出話で花が咲く。
「本当にあの撮影は最高だったわ。とっても楽しかった!」
「あぁ、終わってしまったのが信じられないくらい悲しいよ」
少し切なそうな顔をする彼に、私もそうね…とだけ返した。
「…。LOTRの撮影が終わってすぐに仕事を辞めたのは何でだ?」
急にヴィゴに真剣な表情で聞かれ、なぜヴィゴがその事を知っていたのかと混乱した。
「え?…な、何でそのことを…?オーランドにも言ってないのに…」
「…と連絡を取りたくて事務所に聞いたらそう言われたんだ…。あんなに楽しそうに仕事してたじゃないか!なのにどうして…?」
「そ、それは…」
言えるわけないじゃない。
だって、あなたに会えなくなって仕事をする意味が見つけられなくて私は仕事を辞めたなんて。
仕事をしているのが辛いなんて…。
「それはね…自分の限界が見えちゃって…」
「…限界?君の限界はあんなもんじゃないはずだ。何か他に理由があるんじゃないのか?例えば…誰かに恋してしまったからとか」
そう言われて一瞬肩が震えた。
ヤバイッと思ったが、ヴィゴが気がつかないはずもなく突っ込まれた。
「図星…か。…もしかしてオーランドか?」
少し声が低くなり、睨まれているような感じだった。
「違うわ!私が好きなのはッ!!」
そこまで言ってハッとした。
危うく目の前のヴィゴに告白してしまうところだった。
「誰なんだ?」
「…言えないわ」
ヴィゴから目をそらして小さくそれだけを言った。
「…」
ヴィゴは私の隣にやってきて優しく頭を撫でた。
「、今から私が言う事を聞いてほしい」
そう言って私の膝の上にあった手に、彼の手を重ねた。
ビックリして顔を上げると、とても優しい笑顔だった。
「私は、…君のことが好きだ」
「……え……?」
突然のヴィゴの告白に私はわけが分からなく、ポカンとしていた。
「年が離れていたから相手にされないだろうと思って今まで言えなかった。でも、さっきに好きな人がいるって分かって…悔しいと思った」
「ヴィゴ…」
「の好きな相手がどんな人か分からないけど、私はその人よりを愛してるよ」
まさか、ずっと好きだと思ってた人に告白されるなんて思っても見なかった。
私は自然と涙が零れた。
「?!どうしたんだ?!そんなに泣くほど嫌だったのか??」
その的外れなことを言いながらオロオロしている彼に、私はチュッと触れるだけのキスをした。
「ッ///?!」
「私もずっと同じこと思ってた…。私もヴィゴのことが大好きよ!」
そう言うと、ヴィゴは満面の笑みになり、噛み付くようなキスをしてきた。
「ん…は…ぁ」
苦しくなり口を少しあけて酸素を取り入れるとすかさずヴィゴの舌が入ってきた。
「ンン…ハァ、ヴィ…ゴ…」
「…好きだ…」
熱の篭った瞳で見つめられ、耳元で囁かれた。
「ン、私も…」
お互い今までの想いが一緒だったのが分かり、その後も何度も何度もキスをした。
「――」
「ん?なぁに?ヴィゴ」
私は後ろからヴィゴの腕に抱かれるような感じでヴィゴの膝の上に座っている。
「思ったんだけど、こっちに引っ越してくるなら家に来ないか?部屋は余ってるし」
「えぇ?!いくらなんでもそれはちょっと悪いわよ…」
「は私と一緒に住みたくないのかい?」
首筋に顔をうずめながら抱いている腕に力を込めた。
「そ、そんなことないけど!!」
「だったらいいじゃないか。愛し合ってるもの同士。ね?」
このたま〜にしか見せない可愛い表情(と言ったら失礼だけど)がたまらなく、私は思わずOKしてしまった。
そうして私は数日のうちにヴィゴの家に転がり込んだのは言うまでもない…。
END
?
あとがき
はい!ここまで読んでいただいてありがとうございます(平伏)
何だか1年位前に相互リンクさせていただいてます、サリア様へ書いた夢小説なんですが…;
すっごい手直ししたいのですが、さすがに手直ししすぎるとヤバイと思い、ほぼ原型のままアップしました;
何だか今書いてもそんなに変わらないかもしれないけど「今の自分ならもっとこう書いてるだろうな…」などと思ってしまったりしますね(苦笑)
一応書いたには変わりないのでアップさせていただきます。
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