トントンッ


「…」

コンコンッ

「…」
「全く…;篭ったら出てこないんだから;」




私の名前は。バリバリの東京生まれの東京育ちで、服飾が好きで3年前に親の反対を押し切って
NZの世界的にも有名な服飾関係の学校に入った。

そしてここは先生に才能を認められれば、先生自らが卒業していない生徒にも就職先を紹介してもらえ
るというルールみたいなものがある。


そして私は、入って2年目になるかならないかと言う頃に先生から仕事場を紹介された。

には明日からここで働いてもらいたい」と言って地図が渡された。

急なことで何が何だか分からなかったが、先生の必死なお願いもあり、次の日から働くことになった。

しかしそこは…何と私には場違いとも言える、映画の撮影場所だった。

「えぇっと;場所間違えちゃったかも〜;」

踵を返した私の肩を後ろから誰かに掴まれた。

「ヒィッ!」

それこそ飛び上がるほどビックリして、何とも変な声を出してしまった。

恐る恐る振り返ると、そこには一人の男性が立っていて、お世辞も言えないほど汚らしい格好をしてい
る。

と言うか…今時の格好ではなく、マントなんか着けていて矢筒を持っていて…腰には剣を携えている。
顔は良くみればカッコいいのかも知れないが、ウェーブがかった髪の毛で鬱陶しくも見える。

私たちの間に微妙な空気が流れた。

「君がだろう?待っていたんだ」

これが私とヴィゴの始まり…


ヴィゴはこの映画「ロードオブザリング」の主要人物であるアラゴルン役の俳優さんだった。

私は妙に納得してしまい、実際知らされた時はあまり驚くことはなかった。

私たちは撮影時こそはあまり接する時間はなかったが、撮影が終わってすぐにヴィゴから想いを告げら
れた。

私だって会う度に心惹かれていることは分かっていたが、なんせ年が離れすぎているのが私には不安で
ならなかった。

しかし、ヴィゴはあの時1歩も引かなかった。

聞けばヴィゴは私がヴィゴを好きだと確信があったとか。

そして私は撮影が終わったヴィゴを追ってアメリカに渡り、ヴィゴの家に住み着くようになった。


家に住み着いて分かったのだがヴィゴはとても多才らしく、写真家でもありアーティストでもあり、詩
人、画家…まぁ、その他もろもろをやっていて、家にはアトリエなんてものもあった。

そしてヴィゴは良い案が閃くと何日でもアトリエに篭って出てこない。

そして今も…;


2日出てこないヴィゴに私は痺れを切らしてアトリエの戸を叩いた。

しかしもちろんヴィゴからの返事はない。

私は仕方なく恐る恐る扉を開くとそこは足の踏み場もないほどちらかっていた。

絵の具・パレット・絵の具のついたエプロンやTシャツ…ヴィゴ自身が描いた絵なども置いてあった。

私は溜息をつきながら床に落ちているシャツやジーパン、エプロンなどを拾いながらヴィゴがいるであ
ろう、奥に向かって歩いていくと案の定ヴィゴは1番置くにあるソファでこっちに背を向けて横になっ
ていた。

眠っているのであろうか、一定の寝息だけが聞こえてくる。

「…ヴィゴ〜、洗濯するから起きて〜」

疲れてるところ起こすのは悪いかな?と思いつつも私はヴィゴの肩をゆすった。

「ン…」

ヴィゴはゴロンッと仰向けになるが、起きる気配がない。

「おーい、ヴィゴ?起きて!――キャッ」

私がもう一度ヴィゴの肩を揺すろうと覗き込んだ瞬間に腕を引っ張られ、見事に私はヴィゴの胸に飛び
込んだ。

「もー!!ヴィゴ、起きてたのね?!」

そう言って顔を上げると、ヴィゴは何のことだ?と言わんばかりに首を傾げた。

「私はまだ起きてないよ?お姫様のキスで目覚めるかもしれないがね」

ニッコリ笑ってヴィゴは「ほら」と目を瞑った。

「なッ!へ、変なこと言わないでよ!私は洗濯物取りに来ただけなんだから」

さすがにこういう状況で私からキスするなんて、顔から火が出るほど恥ずかしい。

てなわけで私は拒否してその場から立ち去ろうと、ヴィゴの上に横になっていた体を起こそうとした。

「この洋服も洗濯してくれないか?」

突然ヴィゴが今着ている洋服を指差して言った。

「え?あぁ、うん。いいわよ。じゃー、持って行くから脱いでくれる?」

私がそう言うのを待っていたのかもしれない。

ヴィゴは悪戯っ子のように微笑んだ。

逆に私はとっても嫌な予感がして、顔を引き攣らせてしまった。

「一体ヴィゴは今何考えてるの?;まさか…脱がせて、なんて言うんじゃないでしょうね?」

「おや、察しがいいね♪たまにはが脱がせてくれても良いんじゃないか?」

「たまにはって;ヴィゴさん;何を言ってるのか私には―――そうねぇ…たまには良いかもね♪」

私はいつもヴィゴにドキドキさせられっぱなしだったため、この機会に少しくらいドキドキさせてやろ
う♪と思い立った。

そして私は体を預けるようにヴィゴの上に寝そべり、キスをした。

自分から言い出したはずのヴィゴはビックリした顔をして私にされるがままになっていた。

「ヴィゴ…愛してる」

私はいつしか夢中になり、耳から首筋からと、段々降りていく。

「んッ……」

ヴィゴのシャツのボタンを開けると、そこには贅肉のついてない、しかしとても男らしい筋肉がついて
いた。

私はそこでハッと我に返る。

そしてまたヴィゴにドキドキさせられてしまった。

「…ヴィゴ…さ、そろそろ洗濯物出してよね!」
?!」

私は赤くなる顔を見せまいと、ヴィゴの静止も聞かずに脱兎のごとくその場を後にした。

「いやー、今のは参った;クックック」

ヴィゴは頭をポリポリっと掻きながら溜息をついたとか。



「んもー><!!やっぱりあんなことしなければ良かったわ!恥ずかしい!どんな顔してヴィゴに会え
ばいいのよ!」

私は庭で洗濯物を干しながらすっごく後悔した。

そして今後絶対にあんなことはしないと心の中で誓いを立てた。

?」

「もうあんなことしないわ!」

「…?」

「あんな恥ずかしいこと><!!ヴィゴったら何で平気なのかしら?」

!」

「ウキャア!!ヴィ、ヴィ、ヴィゴ?!ななな、何でそこに?!」

私はヴィゴに呼ばれているのにも気がつかず、ひとりでブツブツ呟いていた。

ヴィゴは呆れた顔をしながらガラス窓を開け、それに寄りかかってこちらを見ている。

そして裸足のまま洗濯物を干している私の元へやってくると、籠の中に入っているバスタオルを一枚取
り出し、物干し竿にかけた。

「二人でやれば早く終わる。さ、の手の中にある私のシャツもこれに干して」

そう言ってニッコリと微笑みながらハンガーを手渡された。

「あ…ありがとう///」

私はさっきの恥ずかしさがまだ残っていたが、言われるままにヴィゴのシャツをハンガーに通す。



「さ、洗濯物はこれで終わりかい?」

最後のタオルを竿にかけてていた私にヴィゴは聞いてくる。

「うん♪今日の洗濯物は終わり!手伝ってくれてありがとね〜」

私はヴィゴにお礼を言って洗濯物の入っていない空の籠を持って部屋へ歩き出した。

すると突然ヴィゴは後ろから私を抱きしめた。

…」

「ヴィ、ヴィゴ///?!」

突然のことで私はまたもやパニックに陥った。

一体なんなの?!ビックリするじゃないよー><!!私はまだこういうスキンシップに慣れてないんだ
から!!

などと心の中で思っていると、より一層ヴィゴの抱きしめる力が強まった。

…愛してる…今までもこれからもずっと…ずっとだ」

後ろから耳元で囁かれ、私は心臓の音が聞かれてしまうんじゃないかと思うくらいドキドキしてしまっ
た。

ヴィゴの告白はいつも突然で…でもとても真剣な言葉だから…私は世界一幸せ者。

「私もヴィゴを愛してる。誰よりも一番…」


奇跡って…運命って本当にあるんだよ。だって大切な人と共に歩める、そんな人生って奇跡だと思わな
い?






あとがき

この度、キリ番踏んでくれた友人リヒトのリクを書かせていただきましたが…こんなものになってしま
いました;  文才が欲しいよぉ(泣)妄想しているものと小説…やっぱり文才が追いつかないため、
かなり違います;許してやってください。
更新はとっても遅めですが、ここまで読んでくださった様!本当にありがとうございます!これ
からも頑張りますのでまた来て下さいm(__)m




BACK